長年相続に関わる仕事をしていて近頃感じるのは、「揉める相続」が多くなってきたことです。
真っ向から主張や感情が対立するケースもありますが、それよりもいわゆる「ちょい揉め」のケースが目立ちます。相続財産の把握や手続きの進め方の行き違いであったりします。
これらの原因の一つに、親族間の関係性の希薄化が挙げられるのではないかと思います。普段から親や兄弟と密なコミュニケーションをとっていれば揉めないのではないかと感じることがあります。
相続手続きにおいては、遺言があるかどうかが最初のポイントとなります。法的に有効な遺言があれば、原則として遺言書の内容にしたがって遺言執行者が遺産(相続財産)を分配します。
遺言がない場合には、相続人全員での遺産分割協議(遺産を誰がどのように引き継ぐかの話し合い)をしなければなりません。遺産分割協議のポイントは①相続人全員で行わなければならないこと、②「誰がどの財産を引き継ぐのか」相続人全員一致で決めなければならないことです。
仮に遺産分割協議が整わないとき(相続人全員で話し合いができないとき、話し合いができても意見が一致しないとき)は、裁判所での調停により解決することになります。これは解決方法の有力な手段ではありますが、時間も労力もかかり、親族間の感情的対立も深まることもあるので、なるべく避けたいものです。
このような相続手続きの手順を頭に入れて、遺言の作成を検討したほうがよい場合があります。
一般的には下記のような方は遺言作成の必要性が高いと言えます。
・複数回結婚している方
・子供がいない方
・特定の財産を特定の方に残したい方(事業や農業の後継者に対して)
・親族間のコミュニケーションに不安がある方
・親族に障害がある方や行方不明者がいる方
田 中 裕 志
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